介護の悩みあれこれ

高齢者が水分を摂らない…どうする?在宅介護でできる工夫と失敗しないコツ

emiko0419
娘さん
娘さん

お母さん、お茶が減ってないですね。

おばあさん
おばあさん

朝に飲んだから今はいらないわね、のども乾いてないし。

娘さん
娘さん

具合が悪くなったらどうするんですか。

おばあさん
おばあさん

お茶ばっかり飲んでられないわよ〜、運動もしてないのに、、、。

「水分を摂りたがらない」「飲んでも少しだけ」など、介護中に同じ悩みを抱えていませんか?

高齢者はのどの渇きに鈍感なことが多く、気づかないうちに脱水症状や膀胱炎を起こすことがあります。

今回は、現役介護現場ナースとして体験したおばあちゃんの事例も交えながら、水分摂取を促すコツをまとめました。

高齢者が水分を摂らない理由

「のどの渇き」感覚の低下

年齢とともに体内の水分量は減っていきます。さらに、脳の機能低下により「のどが渇いた」と感じにくくなることもあります。

その結果、体は水分を必要としていても本人は飲もうとしない…という状況が起きやすくなります。

トイレを避けたい心理

「夜中にトイレに行きたくない」「漏らすのが怖いから飲みたくない」「昼間でも何度もトイレに行きたくない」

こうした心理から、無意識に水分を控える方も少なくありません。

お茶や水ばかり飲みたくない

「味がないから飲みたくない」「お腹いっぱいでこれ以上いらない」こういう方は多いです。
ですが、意外に甘い飲み物なら飲んでくれる方も多いんです。

【実例】お茶は飲まないのに…ジュースなら笑顔で!

数年前に働いていた老人ホームでの話です。90歳代のおばちゃん、年相応の物忘れ程度。

定期的にお茶を配っていますが、いつも「のどが渇かない」「お腹いっぱいなのよ」と言われ、コップが空になるのは稀でした。
結果、膀胱炎のような症状を繰り返してしまう状況。

おばあちゃんは甘いものが好きで、小さなお饅頭やチョコレートを時々自分で食べていました。食後でも甘いものは別腹のようです。

そんなおばあちゃんに1日に2回程度、家族に買ってきてもらったジュースを提供することにしました。「ジュースですよ」と声をかけた時は、とてもいい笑顔をされていたのが今でも印象に残っています。

「お茶の次はジュースの回」というリズムができたことで、おばあちゃんはお茶を飲む量が少し増えました。

それでも十分ではなかったので、食事についてくる味噌汁やスープ、牛乳を十分に摂ってもらうようにスタッフ間でも周知。
水分を摂ってもらう難しさを改めて実感したケースでもありました。

在宅介護でできる水分摂取の工夫

1、味付き飲料を上手に活用する

お茶や水が苦手なら、ジュース・コーヒー・紅茶・スポーツドリンクなどをうまく使うのがおすすめです。

糖分が気になる場合は、水で薄めるとちょうどよく飲んでくれるケースもあります。

介護する方が普段飲まれているものを一緒に飲んでみて、好みを確認するのもいい方法です。

2、お菓子やおやつと一緒に出す

「飲む」だけだと拒否されやすいですが、お菓子と一緒なら飲んでくれる方が多いです。

「お茶+おまんじゅう」「ジュース+ビスケット」など、セットで出すと成功率が上がります。

3、こまめに少量ずつ提供する

一度にたくさん飲んでもらうのではなく、1日5〜6回に分けて少量ずつ。

「お茶にしますか?ジュースにしますか?」と選択肢を与えると、本人の意欲も高まります。

4、水分が多い食品も併用する

フルーツ(スイカ、なし、ももなど)、野菜(きゅうりやトマトなど)、豆腐やゼリー、あんかけやとろみ付きの料理でも効率的に水分補給ができます。

脱水・膀胱炎を早期発見するためのサイン

  1. 皮膚がいつもより乾燥している
  2. 尿の色が濃い、においが強い
  3. 急に元気がなくなった
  4. 発熱、膀胱炎の症状(頻尿、排尿時の痛み、残尿感)

こういったサインが出たら、かかりつけの医師や担当のケアマネージャーに相談しましょう。

小さな工夫で「飲まない問題」は解決に向かう

  • 高齢者は「のどの渇き」に鈍感になりがち
  • ジュースやお菓子をうまく活用する
  • 一度にたくさん飲ませるより、少量を回数多く
  • 食事からも水分を摂る意識をもつ
ナース・ミー
ナース・ミー

水分不足は脱水や膀胱炎だけでなく、 認知症リスク にもつながります。
小さな工夫の積み重ねが、おじいちゃん・おばあちゃんの 元気と笑顔 を守る一歩です。

今日からできること、ひとつ試してみませんか?

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ナース・ミー
ナース・ミー
現役の介護現場ナース
看護師歴25年超え、介護現場で働いて10年以上。今日も老人ホームで勤務しながら”現場で起きているリアルな介護”を発信しています。「介護の負担を少しでも減らしたい」「自宅でのケアを楽にしたい」そんな方のために、経験から得たヒントをわかりやすくお届けします。                 
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